地主様向けお役立ち情報

遺産分割|思い出の樹1

相続した土地をめぐる姉弟の対立を描く物語を連載します。
不動産をめぐる相続のよくあるトラブルの一例として、参考になれば幸いです。
読者のご意見・ご感想をお待ちしております。
当サイトのお問合せページからお気軽にお寄せ下さい。

 

プロローグ

「どうして解ってくれないんだ、姉さんは・・・」

 

風呂上がりの飯野直紀は、ビールの入ったグラスを片手に、リビングのテーブルに肘を突いて呟いた。

 

数日前に姉の飯野早紀と会って以来、頻繁にこの言葉を口にしている。

 

「お姉さんともう一度、話し合ってみたら?」

 

ビールの肴にと、焼いた油揚げを持ってキッチンから出てきた妻の洋子が言った。

 

「聴いているわよ、亡くなったお義母さんからも。あなたとお姉さんは子供の頃からとても仲が良かったって。若い頃は、私の前でも、お姉さんの自慢なんかしちゃって。私なんか、ちょっと妬けてくるくらい」

 

「そんなことあったか」直紀は苦笑いした。

 

「でもなぁ…。姉さんは思い出にばかりこだわっているんだよ。きっと」