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生前贈与とお金の苦労

生前贈与を活用すれば、相続税を節税できます。
ですが、節税メリットがある反面、受け取る側のデメリットが語られる事は少ないものです。

デメリットは何でしょう?
それは、子どもの金銭感覚への影響です。

親から贈与を受け続けた子どもの金銭感覚はどうなるでしょうか。

確かに年間110万円以下の贈与は無税です。ですが、受けた子どもの財布の紐は、当然緩むでしょう。毎年の贈与が恒常化すれば、それらの金銭は、自分で稼いだ所得に上乗せされた感覚を持つのではないでしょうか。よほど強い意志を持っていないと、日常的に支出を増やしてしまうものです。

お金の事を書いた「となりの億万長者」(トマス・J・スタンリー)というベストセラー本があります。これによると、大人になっても親から経済的援助を受けていると、子どもはいつまでも親のお金を当てにし、経済的な自立が出来なくしてしまうと言い切ります。

すなわち、自立した子どもに育ってほしいと願うならば、目先の節税に気をとらわれず、容易に子どもに贈与しないことです。

お金の苦労をさせた方がよいということで、以下、有名な諺(ことわざ)をご紹介します。

・かわいい子には旅をさせよ
・親の甘いは子に毒薬
・親の甘茶が毒になる
・かわいい子には薄着をさせよ
・かわいい子には灸をすえ憎い子には砂糖をやれ

かわいい子どもにはお金で苦労はさせたくないのが親心。ですが、良かれと思ったことが逆効果になることもあります。

生前贈与は、節税面だけでなく、このようなことも考慮して検討したいものです。

(私も偉そうな事を言える立場ではありませんが、自戒の意味を込めて記事を書きました)