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値上げに将来景気は関係する?|判例|

今回は、賃料の改定交渉についてのお話です。

借地人サイドとしては、様々な理由をあげて値上げを食い止めようとされるものです。

拒否の理由として将来の動向予想を主張してくる場合があります。

例えば、「来年は景気悪化が予測されているので、今は値上げには応じられない」など、です。

少し前だと、

・オリンピックが終わると地価が下がる(2020年頃)

・新型コロナウィルス感染症で地価が下がる(2021年頃)

最近では、

・戦争で世界景気が懸念されている(2022年頃)

などがあります。

このように値上げ拒否の理由に将来の動向予想を突いてくるのです。

しかし、これは理由になりません。

なぜなら将来の景気は、基本的には、将来の賃料改定の際に考慮すべき事だからです。


根拠となる判例を紹介します。

【判決文の抜粋】

しかしながら,賃料増減額確認請求訴訟においては,その前提である賃料増減請求の効果が生ずる時点より後の事情は,新たな賃料増減請求がされるといった特段の事情のない限り,直接的には結論に影響する余地はないものといえる(最高裁平成25年(受)第1649号同26年9月25日第一小法廷判決・民集68巻7号661頁参照)。
したがって,平成27年8月又は同年10月以降の将来の経済状況の変化は,将来の賃料改定の際に(例えば,原告第2増額請求の意思表示がされた時点までの事情については,原告第2増額請求の当否を判断する際に)考慮すべきことであって,平成27年8月時点又は同年10月時点で考慮するのは相当ではないから,原告の上記主張は採用できない。

【引用判例】

裁判年月日 平成30年12月20日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平28(ワ)18063号 ・ 平28(ワ)18108号
事件名 賃料増額請求事件(第1事件)、賃料減額確認等請求事件(第2事件)
裁判結果 一部却下、一部棄却(第1事件)、一部認容(第2事件) 文献番号 2018WLJPCA12208015

 

なにか参考になれば幸いです。