父親の再婚と相続分
実家の父親の再婚話が出た場合、子どもが備えるべきことは?
妻に先立たれた父が再婚した場合の子どもの相続権は?
後妻との相続関係はどうなる?
再婚話が出た父親にそれなりの財産がある場合、子どもの立場からは、このような相続に関する漠然とした不安を感じることがあると思います。
このような場合は、相続に関する基本的なルールを学ぶことが大切です。ここでは、法定相続分について説明します。
法定相続分とは
「相続分」とは、誰がどれだけ遺産を相続するかの取り分のことです。民法で決められた相続分を、法が定めた取り分という意味で「法定相続分」といいます。
遺産は、もともと本人(以下、「被相続人」といい、相続財産を遺して亡くなった人のことです。)の財産ですから、被相続人の意思であれば、全ての財産を特定の誰かに遺すのも自由です。その場合は、被相続人が生前に遺言(「いごん」や「ゆいごん」と読みます。)を書くことで財産の行き先を指定します。
が、遺言がない場合は、遺産相続をすべき相続人の間で、誰がどれだけ相続するかを話し合います。
もし、話し合いがまとまらない場合や、さまざまな理由で話し合いがむずかしい場合は、法定相続分をもとに決めていきます。
後妻と子どもの遺産相続問題
さて、被相続人に子どもがいる妻の法定相続分は、遺産の2分の1と決められています。
一般的に、離婚の場合は、夫婦になってから築いた財産の増加分の2分の1を分与するそうですが、相続の場合は、極論すれば、妻になった瞬間、全財産の2分の1の相続権が認められることになっています。
そのため、後妻と子どもの間で遺産相続の問題が生じやすいのです。
子どもからすると、自分の取り分が突然半分になってしまうので不満を持つのも当然でしょう。
仮に、後妻の養子に入れば、いずれ後妻が亡くなったとき自分のものになるかもしれません。
が、後妻と前夫との間に子どもがいれば、無論そちらにも財産がいきます。
それに、後妻とは利害が対立するので仲が悪いことも多く、心情的にも後妻の養子には入りたくないものです。
芸能界でも、死の直前に長年付き合っていた高級クラブのママと婚姻届けを提出した宇津井家、後妻に全財産を遺したやしきたかじん家、後妻と息子の骨肉争いが勃発した作曲家の平尾家などが有名です。
遺産相続をめぐるトラブルは、枚挙にいとまがありません。
子どもにとっては納得しがたい場合も
例えば、息子が父親と経営する事業を共に力を合わせて大きくした結果、築いた財産が父親のもとにあるとします。
父親が晩年知り合った後妻に遺産の半分がいくと息子が感じたなら、息子としては納得しがたいと思うのは容易に想像がつくと思います。
個々の事情にそぐわない法律
もちろん、遺された妻の生活保障も必要だと思いますが、現在の多様化した家族問題の中には、法律で一律に定めたルールが個々の事情にはそぐわない場合があるのも事実です。
不動産がある場合の注意点
遺産のうち不動産など分割困難な財産が含まれる場合にも注意が必要です。公平な遺産分割にあたって専門家の助けを借りるのも重要な選択肢となるでしょう。
まとめ
以上、法定相続分について説明しました。相続に関する問題を未然に防ぐためにも、まずは、基本的なルールを学ぶことの大切さが多少なりともお分かりいただけたのではないでしょうか。