大手vs中堅デベ用地の特徴
こんにちは、不動産鑑定士の三原です。
今回は、マンション用地を売却する際に売却候補先となる大手と中堅デベロッパーの特徴についてまとめます。
デベロッパーとは、不動産開発業者のことです。業界用語で略して「デベ」ともいいます。
地主が相続などで規模の大きな土地をデベロッパーに売却を検討する際の参考にしてみてください。
大手デベ
まず大手デベの場合です。
結論からいうと、権利関係がシンプルで売りやすい土地であれば、大手デベロッパーが売却候補先になり得ます。
その理由を以下で具体的に説明します。
事業採算の収支の観点からみると、中堅デベと比較して建築コストが違ってきます。
大手デベの方が建築費用をたっぷりかけて高価な材料を使っていると思われるかもしれませんが、実際のところ高価な材料を安価に調達しています。
大手デベは、数多くの現場をもっているので、ゼネコンに対して年間発注額を保証するかわりに比較的安価に発注することができるのです。
ゼネコンからしても、大手から大量に仕事を受託することを前提として、仕様や部材を統一し、原材料も安く仕入れられるでしょうし、協力業者には仕事をある程度の規模で発注するかわり安く発注しやすい状況を作っています。
また、マンションをエンドユーザーに売るときの販売価格は、不動産市場で決まりますが、マンション開発で得られる売上は同じでも、原価を安くできる分、大手は用地(土地)を高値で買っても採算がとれるようになっている、と言えます。
実際、大手デベはマンションシリーズに名前を付けて、ブランド力を高めています。相場より高い価格であっても、エンドユーザーは安心して高値でも購入しています。
したがって、地主が何ら問題のない売りやすい土地であれば大手デベロッパーの方が高い金額で土地を買ってくれる可能性が高いと言えます。
中堅デベ
一方、中堅デベの場合です。
こちらも結論からいうと、権利関係が複雑な土地について、中堅デベロッパーが売却候補先になり得ます。
その理由を以下で具体的に説明します。
中堅デベは、大手に比べて完成させた商品のネームバリューが圧倒的に劣ります。
エンドユーザーへの販売力が相対的に落ちるし、また大手デベより建築原価もコストが高くなるのが通常です。
したがって、中堅デベは、大手デベが買う金額で用地を仕入れてしまうと事業採算がとれません。
そこで、用地が売り物になる一歩手前のタイミングで、例えば、立退きが絡む複雑な権利案件や先行して種地(たねち)に手をつけている地上げ業者などに資金面でサポートするなどして、困っている売主が資金化を急ぐなどの理由のある難物件を仕入れていくことになります。
中堅デベは、大手と同じ土俵上では、大手の仕入力(購入金額)に太刀打ちできないからです。
また、大手の仕入担当者は、どちらかというとリスクがあって取らぬ狸の皮算用で仕入れに時間がかかる案件よりも、今すぐに仕入れできる用地に注力する方が目の前の数字目標を達成できて効率的です。
したがって、地主が権利関係が複雑な土地を売却する際は、取引の融通が利く中堅デベロッパーの方が大手デベよりも高く買ってくれる可能性が高いと言えます。
まとめ
このように一口にデベロッパーといっても、大手と中堅でも用地取得競争を行うフィールドが細分化されていて、得意分野の住み分けができています。
今回のお話が、地主が土地を売る時に参考になれば幸いです。