コツコツ贈与で相続節税
生前贈与の制度を上手く活用して、子どもや孫に財産を贈与しておけば、自分が亡くなった時の相続節税に効果的です。
ここでは、生前贈与の代表的な手法をご紹介します。
■暦年贈与(れきねんぞうよ)
贈与税は、一人あたり年110万円の基礎控除があります。この金額以下の贈与には贈与税がかかりません。1年ごとの区切りの贈与という意味で暦年贈与といいます。
子どもが3人、孫2人ずつ計9名に毎年110万円を10年間にわたり贈与すれば、約1億円を無税で移転することができます。相続税の実質税率が50%であれば、5,000万円の節税になります。
最近の銀行には、暦年贈与が行いやすい商品があります。定期的に贈与申込書が郵送されてきますので、そこに記入・申し込みすれば面倒な手続きも軽減されます。
■暦年贈与と保険の組合せ
毎年110万円の範囲内で、子どもや孫の名義で保険に入る方法です。
被相続人の相続財産扱いになると困るので、子どもや孫に贈与し、それを保険料として子どもや孫に払ってもらうようにします。贈与を受けた側の無駄遣いを防ぐ効果もあります。
■教育費や生活費の都度贈与
暦年贈与とは別に、そもそも子どもや孫へ教育費や生活費に充てるためにした贈与は、金額の多寡にかかわらず、贈与税は非課税です。
但し、通常必要と認められる範囲であることが要件です。教育資金として一括贈与した場合は、以下の方法を適用しない限り、贈与税がかかりますので注意が必要です。
■教育資金の一括贈与
一般的には、お孫さんへの教育資金に充てるために、祖父母の方がまとまったお金を贈与する場合の非課税制度です。受贈者は30歳未満に限りますが、非課税限度額は、お孫さん一人につき1,500万円までです。金融機関の信託口座に入金したお金を、お孫さんの学費が必要となる都度、口座から引き出す仕組みです。
(参考)幼稚園から高校の15年間にかかる平均教育費は、公立で約540万円、私立で約1,770万円です。ここには、塾やスポーツ教室に通わせる費用は入っていません。
また、国公立大学の学費は、4年間で約500万円、私立大学理系で約800万円です。(日本政策金融公庫、平成29年度教育負担の実態調査結果)
以上、生前贈与の代表的な手法をご紹介しました。このようにコツコツ贈与すれば、相続節税の効果は大きいものになります。ぜひご検討頂ければと思います。
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