実例紹介・お客様の声

当社に寄せられた数多くのお客様の声の中からいくつか厳選して実例としてご紹介いたします。

Vol.10相続税の不安 ダイジェスト版

(1) 父の遺産
 私の父は、神奈川県Y市に20,000平米以上の土地を持つ大地主でした。その父が3ヶ月前に亡くなりました。相続人は、母と私、妹、そして養子が1人の計4名です。養子というのは、実は私の長男、亡父からみれば孫です。
 なぜ孫を養子にしたかといえば、法定相続人が増えることによって相続税が減額されるし、父から私の息子に相続させれば、私から息子へ相続させる必要はなくなり、それだけ相続税を支払う機会が減るからです。もっとも孫養子の相続税額は2割増しになりますので、その点は予め考慮しておかなければなりませんが。

 さて、大地主が亡くなった後の遺産相続というと、いろいろとトラブルがあったのではないかと思われるかもしれませんが、遺産分割協議はすんなりとまとまりました。母は、自宅を含め全体の2割ほどの不動産を相続しました。自宅以外は底地であり、母の老後の生活を支えるに十分な賃料が受け取れるでしょう。妹は賃貸マンションをいくつか相続しました。それらのマンションには建築時の借入金も残っており、その借入金の返済債務も一緒に相続しましたので、相続財産全体の10%も満たない額ですが、将来的に妹は十分な収益を得ることができるでしょう。

 そして、残りの7割近くの遺産を相続するのが、私と私の息子です。20,000平米の土地の約7割を相続するとなると、どうしても心配になってくるのが相続税です。相続税は、相続額が2億円を超えると45%、6億円を超えれば55%となります。できるだけ、相続税を抑えたいと考えたとしても、無理からぬことではないでしょうか。

相続税の不安

(2) 相続税の不安
 不動産絡みの収入も相当程度ありましたので、亡父には顧問税理士がいました。それも、かなり大手の税理士事務所です。私もその税理士事務所の担当者に相談しました。しかし、担当税理士によると、相続税額は5億から6億程度だと言うのです。日頃からうちの税務をみている顧問税理士でありながら、具体性を欠く曖昧な物言いをすることに、私は若干の不信感を抱きました。

 実を言うと、私は弁護士をしています。一度は、自分で税額を算定してみようといろいろと調べてはみたのですが諦めました。弁護士といっても、私は、技術系の知財、すなわち特許権などの知的財産権関連を専門とする弁護士で、不動産には必ずしも詳しくないのです。無理にやろうとすれば、本業に支障を来しかねません。医者は外科医、内科医など専門が分かれていて、骨折して眼科医にかかろうという人はいません。弁護士はこのように明確に専門が分かれていないので法律問題の全てに対処できるように思われるかもしれませんが、必ずしもそうとはいえません。私のように、不動産に詳しくない弁護士も中にはいます。だからこそ、苦手分野については、その方面の友人をしっかりと持っています。今回も友人の不動産鑑定士に、不動産に詳しい税理士を紹介してもらいました。不動産鑑定士の友人が、その税理士をしっかりとサポートしてくれるというので、とにかくその税理士さんに会ってみることにしました。

(3) もう1つの依頼
 税理士さんが私の事務所を訊ねてきたとき、私は開口一番「相続税がいくらになるのか、非常に不安なのです」と言い、相続に関する事情を説明しました。そして、土地の登記簿、地図、評価証明書といった相続することになった土地の分厚い関連書類の束を彼に渡しました。その時、相続財産とは別の他の資料も一緒に渡しました。

 父は、自ら代表者となって資産管理会社を設立し、そこにマンションなどの収益物件の一部を保有させていました。今では、私が代表取締役であり、他の役員もほとんど私の親族ですが、1人だけ親族でない者が取締役に名を連ねています。地元の建設会社の営業マンだった男で、今ではその建設会社の取締役にまで出世しています。彼は、父母の信頼を得て、我が家の不動産顧問といった立場にある人物です。仮に彼のことをX氏と呼びましょう。父の所有する土地に建つマンションなどの建物のほとんどは、X氏の勤める建設会社が施工したもので、それらは資産管理会社の所有となっています。これらの賃貸物件の収益が思わしくないのです。

 不動産に詳しい税理士であれば、その資産管理会社所有の建物に関する資料を見れば、なにがしかの感想を抱くはずです。不動産に関連する相続税について、現在の顧問税理士である大手税理士事務所の担当者よりも良い結果を出し、さらに、この資産管理会社のもつ賃貸物件についても適切な意見を述べてくれるようであれば、彼に、我が家の顧問税理士になってもらおうと考えました。
 現在の顧問税理士より税額を低減できれば、その10%を報酬として支払う約束をして、彼は、書類をもって帰りました。

(4) 相続税の減額
 1ヶ月後、税理士さんが、相続税の査定額を持って、Y市の我が家を訪れました。
 彼の査定は、これまでの顧問税理士事務所に比べ、9000万円ほど低いものでした。

 まず「広大地」を適用できる可能性が高い土地が、複数あったというのです。「広大地」とは、簡単に言えば、広大な宅地(Y市の場合は500㎡以上)で、一定の要件を満たしたものについては、概ね50%以上の相続税が減額されるというものです。この「広大地」に該当するかどうかの判断はなかなか難しいものがありますが、友人の不動産鑑定士とも相談し、「広大地」として認められる可能性が高いとのこと。ただ、広大地の評価については平成30年1月から大きく変更されることになります。しかし、父が亡くなったのはそれより前なので、今回の件については従来の広大地評価を利用できるというわけです。

 他にも「一体評価」を利用し、固定資産税の還付も可能とのことでした。「一体評価」とは、例えばマンションの建つ土地の地目が宅地、そのマンションの駐車場の地目が雑種地だった場合、駐車場はあくまでもマンションに附属した用途に用いられるものですから、これを一体として評価し、全体を宅地として評価できるというものです。宅地であれば、固定資産税は6分の1となります。過去20年にわたって、この一体評価はなされていなかったことを確認でき、納め過ぎた額の返還が可能となるというわけです。厳密には相続税が減額されるわけではないが、税額が減額されることには違いはありません。
 他にも、いくつか評価替え等によって、減税が可能になるということでした。結果として、これまでの顧問税理士事務所が査定した納税額が5億6000万円だったのに対し、彼の査定は固定資産税の還付も含めれば差し引きで4億7000万円となり、さらに減額の余地もあるというもので、十分満足のいくものでした。
 そして、資産管理会社の保有物件についても、彼は適切な意見をくれました。保有物件の半数以上が赤字であり、駅から距離がある立地にも関わらず十分な駐車場スペースがないものや、必要以上に部屋数が多いもの、都心部の億ションのような豪華すぎる設備のマンションもありました。もっとも、その意見は、彼と共通の友人ともいえる不動産鑑定士の所見も含まれると、彼は正直に話してくれました。

(5) 結び
 これで私は、彼を新たな顧問税理士とする決心が付きました。もっとも、それは、彼を紹介してくれた不動産鑑定士が、実質的に我が家の不動産顧問になってくれるのと等しいことだからでもあります。

 ちなみに、資産管理会社の取締役をしていたX氏は、彼の書いてくれたレポートを下に説明を求めると、資産管理会社の取締役の辞任を申し出ましたが、拒否しました。自分の会社の利益を優先したことについて多少でも申し訳ないという気持ちがあるのであれば、信頼してくれた父のためにも、リーシングをはじめとする不動産管理を充実させることによって、私たちに利益をもたらしてくれることを求めました。
 結果、私としては、相続税の減額に成功しただけでなく、有能な税理士と不動産鑑定士を顧問とし、X氏も資産管理会社保有物件の管理人として、より一層職務に励んでくれるようになったというわけです。

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