実例紹介・お客様の声

当社に寄せられた数多くのお客様の声の中からいくつか厳選して実例としてご紹介いたします。

Vol.3地代改定事例その3(姉vs妹編)

私の妹はデキる女です。いわゆるバリバリのキャリアウーマンです。ただ、お金が絡むととてもシビア。要するにケチ。そしてバツイチです。離婚の原因は金銭トラブルのようでした。というのも、4年前に父が亡くなり、私たち姉妹は土地と建物を相続したのです。どうやら、それが離婚のきっかけになったようです。

父は駅前の200坪の土地に3階建てのビルを建て、それをカラオケ屋に賃貸していました。その土地を私が、建物を妹が相続しました。建物は土地と違い、テナントとの交渉やら建物の管理やらといろいろと面倒臭そうなので、そういうことは妹に任せることにして、専業主婦の私は土地を相続して、妹から地代をもらうこととしました。

地代は毎月30万円です。妹がカラオケ屋からもらっている賃料が具体的に幾らなのか、相続の時に聞いたはずですが詳しくは覚えていません。たしか100万円以上したような気がします。抜け目のない妹のことですから、カラオケ屋と交渉して賃料を値上げしたかもしれません。先日、妹に賃料について訊いてみましたが、そういうことは相手もあることだから秘密だと言われてしまいました。

そして、毎月100万円以上のお金が入るようになって、それがきっかけとなって、妹と夫との関係がおかしくなり、父が亡くなってから2年後に離婚してしまいました。

一方、私の方はというと、以前から業績不振が取り沙汰されていた夫の勤務先が海外の会社に買収され、夫は子会社に出向することになってしまいました。遠方に転勤になるようなことはなかったのですが、収入は2割ほど減りました。2人の子供はいずれも大学生です。そのうえ1人は京都の大学に進学したために仕送りをしなければならなくなり、少々家計が厳しくなってしまいました。

そこで、妹から受け取る地代を値上げしてもらえないかと考えました。でも、「家計が厳しいので地代を上げて」と言って、「はいそうですか」と応じてくれるような妹ではありません。よく考えてみれば、駅前の商業地200坪の賃料として、月額30万円というのは妥当なのかどうか、それすらもよく分かっていません。地代の相場はどの程度なのかとインターネットでいろいろと検索してみると、不動産鑑定事務所のウェブサイトに辿り着きました。思い切って電話してみると、50,000円で査定してくれるとのことなので、査定を依頼しました。

査定ができたということなので鑑定士事務所へ行き、いろいろと相談しました。査定額は40万円ということで、値上げの交渉が成立する余地は充分にあるということでした。賃料の増額交渉は、当事者同士の話し合いだけで解決しなければ、裁判所へ調停を申し立て、それでもダメなら裁判という段取りになるそうです。

まずは査定書を持って妹の所へ行き、地代の値上げを申し入れてみました。「お姉ちゃんにしては、なかなかやるわね」と、予め不動産鑑定士に相談して地代の査定をしてもらったことに感心されてしまいました。でも、妹は「こちらはちゃんとした鑑定をしてもらうわ。交渉はそれからね」と、地代についてもっと本格的な鑑定書を作成するそうです。そして、お互いの鑑定書を証拠として裁判所の調停手続きに付すことを妹が提案してきました。「そうしましょう」と、私が二つ返事で受けて立ったので、妹はちょっと驚いたようでした。専業主婦の私が、裁判所と聞いて腰が引けるとでも思っていたのでしょうか。私の方もそういった流れになる可能性があることは、予め鑑定士の方から教えてもらっていたので心構えができていました。

改めて鑑定書を作成してもらい、不動産鑑定士事務所の方から紹介してもらった弁護士に依頼して、調停に臨みました。妹の方が提出してきた地代の鑑定額は従来と同じ30万円、こちらの鑑定額は、詳細に調査した結果、査定よりちょっと上がって45万円。調停委員は、私の方の鑑定結果をより適切と判断したようで、40万円の調停案を示してきました。その金額で調停がまとまりました。

裁判所で別れ際、「久しぶりにお姉ちゃんに一本取られちゃったね」と妹に言われました。なかなか男前な引き際です。私が、デキる女の妹と1人で交渉しても勝ち目はなかったでしょう。今回は、早い段階から専門家のアドバイスを仰いだのが正解だったようです。今度、妹にいい男を紹介してやろうかと思っています。

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