実例紹介・お客様の声

当社に寄せられた数多くのお客様の声の中からいくつか厳選して実例としてご紹介いたします。

Vol.2地代改定事例その2(対企業編)

大企業を相手の交渉は疲れます。私たちのように、六十も半ばを越えた者にとっては尚更です。

私たち3人姉妹は、東京の下町で1,600坪の土地を所有しており、これをとある会社に賃貸しています。もちろん親から相続したもので、1,600坪という広い土地ですから、地代は年額で1,800万円です。ただ、そのうち900万円は固定資産税などです。残りの900万円を3人姉妹で分けています。

地代の半分が税金というのは、もしかしたら地代が安すぎるのではないかという気がしてきました。息子に地代の相場を調べてくれるよう頼んだら、インターネットで調べてくれたようで、やはり地代の相場として税金の2倍というのはかなり安いそうです。思い切って、借地権者の会社に連絡し、総務部の担当者の方と会うことになりました。

借地権者はかなり大きな企業です。昭和10年頃、祖父が地元の会社に工場用地として貸したのが最初だったそうです。その会社は戦後、高度成長時代の波に乗り上場企業になりました。今では他の会社の子会社となったのを機に上場廃止となったようですが、依然大きな会社です。ただ、私たちが貸している土地にあった工場は既に移転し、今では駐車場になっています。

姉と一緒に担当の方に直接お会いして、地代をもう少し値上げしたいとお願いしてみました。しかし、「そう言われましても、地代は契約で決まっていますのでご納得していただくしか…」と、けんもほろろの対応。そのうえ「税金分を除いても毎年900万円もお支払いしているのですよ。我が社にも年収900万円という社員は多くありませんよ。それも身を粉にして働いての900万円です。地主さんは羨ましいですね。」と嫌みまで言われる始末でした。

そのことを息子に話したら、「サラリーマンにしてみれば嫌みの1つも言いたくなるのかもね。それはそうと、その会社と交渉するのなら、やっぱり地代の相場をしっかり調べてからの方がいいよ。地代の査定の問題なのだから不動産鑑定士に相談してみたら?」と、不動産鑑定士事務所を紹介してくれたので、さっそくその不動産鑑定事務所に連絡して相談に行くことにしました。

2回ほど相談した結果、地代は2,700万円と査定してもらいました。また、地代については、増額請求を裁判所に申し立てることができることを教えてもらいました。さらに、1,600坪の土地をいつまでも駐車場だけに使用しているというのも土地の有効活用という観点からはあまり合理性がないので、借地権者としては何か再開発などを考えているかもしれないということも聴きました。

先日の担当者には嫌みまで言われたので、すぐにこの査定書で裁判所に申立てをしようかとも思いましたが、それも手間がかかることですし、鑑定士さんの仰る再開発の可能性というのも気になりましたので、もう一度、借地権者である会社の担当者に電話で連絡を取りました。はじめはいかにも面倒臭そうな対応でしたが、不動産鑑定士に地代の査定をしてもらい、もしご相談にのっていただけないなら裁判所に地代増額の申立てをすることも考えていることを告げると、少し態度が変わり、会ってくれることになりました。

再び会社に出向くことになりました。もちろん不動産鑑定士の方にも出席してもらいました。あちらは、先日の担当者の他にその上席と思しき方も同席しました。専門家に相談しただけで、ずいぶん対応が違うものだと感じました。

2回ほど打ち合わせた結果、地代の増額には応じていただけました。専門家に相談した甲斐があったというものです。やはり、専門家にお願いしたということは、相手方にもこちらが「本気」であることを示すという意味もあったのではないかと思います。

また、鑑定士さんの言ったとおり、借地権者の会社では借地絡みの再開発の計画があるそうです。ただ、周辺の土地も併せての再開発の計画のようで今すぐに私たちの土地をどうこうするという段階ではないようです。もし、その再開発の話しが具体化すれば、私たちの土地の権利関係についてもなんらかの影響があると思われますので、その時は、またこの鑑定士さんに相談するつもりです。やはり、大企業の方と交渉するには専門家の助けは必要ですし、息子も、不動産鑑定士なら中立的な立場で相談に乗ってくれるだろうから、相談相手としてはいいのではないかと言ってくれています。

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