不動産鑑定を入れることによって、相続土地の評価は大きく減額できる場合があります。
相続財産を評価する方法は、国で「財産評価基本通達」というものを定めています。相続税路線価に基づくのですが、これらは画一的な簡便法ですので、土地の規模が大きかったり、高低差があったり、がけ地だったりすると、実際の評価額は財産評価基準での評価額よりも下がることになります。
以下、不動産鑑定評価により大きく節税できた実例を紹介します。
実例
税理士事務所経由でご紹介を受けたある個人の地主様から、栃木県内の相続土地の鑑定評価をご依頼いただきました。調査する項目が多く、実際の作業として約1ケ月半ほどかかる大変な作業でした。
相続税申告にあたって、はじめから不動産鑑定書を添付して税務署に申告しようとしたのですが、担当の税理士から「仮に鑑定書否認があったとき、延滞税が高くついてしまう」というアドバイスをいただきました。
そこで『まずは財産評価基準に基づく評価で申告を済ませます。つまり高い税金を一度納税します。その後、更正の請求(申告期限から1年以内)により税金還付を受けようという案です。こうすることで、仮に評価が否認された時の延滞税等を支払うリスクから開放されます。』というスキームとしました。
本件業務の全体のスケジュールは、以下のようなものです。
平成20年12月
相続発生
平成21年7月頃
当事務所にご相談
平成21年8月頃
相続税申告
平成22年6月
更正の請求(不動産鑑定書添付)
平成22年11月
税務署から税理士事務所に否認の連絡がはいる
税理士と同行して管轄税務署に説明に赴く
平成22年12月
当事務所より再鑑定書を提出
平成23年1月
税務署から税理士事務所に「再鑑定書を受け付ける」旨の連絡
まだ田畑が残る地域で、大きな敷地の木造家屋にお住まいで、農家のお母さんと息子さんを訪問し、今回の相続税還付の為の不動産鑑定のご依頼をお受けいたしました。
当事務所の不動産鑑定によって、相続税のうち土地評価分の約900万円の還付が可能となりました。
【当初相続税額】2,500万円
【更正の請求後】1,600万円
【減額】 900万円
このような土地評価のポイントは、
①周辺の土地に比べて規模が大きいこと
②宅地として利用するためには造成工事費など目に見えない費用が過大にかかること
③開発道路や敷地延長部分の評価減があること
④地価公示などの指標価格が近隣になかったり、選定替えによってポイント地点の変更がみられること
⑤実勢価格を分析できる多くの取引事例が収集可能な地域であること
などが挙げられます。
また不動産鑑定業者への依頼のポイントは、
①地元の不動産鑑定士を避けること
②地主の立場になって行動してくれること
③税理士事務所と連携して不動産鑑定を処理できること
④経験豊富な不動産鑑定士を選ぶこと
が挙げられます。
特に①②のポイントの補足ですが、多くの不動産鑑定士は公的評価業務を国や税務署から受託しているため、国や税務署と対立する鑑定書を書けないということです。更正の請求は一度申告した後の再提出になるので目立ってしまうわけです。
棚卸資産のうち不動産に該当するのは「販売用不動産」で、前項の固定資産と同様に時価会計が行われます。
(1)販売用不動産の時価会計が必要となった背景
通常、企業は仕入れた棚卸資産を販売して収益を上げるわけですから、収益獲得の過程をごく単純な式で表すと
収益 = 販売額 - 仕入原価
となり、本来であれば棚卸資産は仕入原価で計上されます。
しかし、不動産市況の低迷により、企業が抱える販売不動産は事業の目処が立たずに長期間滞留し、著しい地価の下落によって大幅な含み損を抱えることとなり、棚卸資産を仕入原価のまま計上していると、実際の資産処分の時まで損失が先送りにされてしまう事態が生じました。
また、住宅・建設・商社等の経営破綻が相次ぎ、破産・更生手続きが開始時に含み損がまとめて計上されてしまい、日本の会計監査に対する不信感が高まる結果となりました。そのため、不動産の簿価と時価の乖離を改善することが透明性の高い決算書を作成する上で急務となり、「強制評価減」という制度を経て、現在では時価会計が導入されています。
(2)販売用不動産等の時価
時価の捉え方には「正味実現可能価額」と「再調達原価」のふたつが考えられますが、ガイドライン等により、正味実現可能価額により計上されるのが一般的となっています。
正味実現可能価額とは、売却時価(販売見込額)から販売に要するコストを差し引いたものです。
(3)開発事業案件
販売用不動産の評価は以下の2つに分類されます。
①開発を行わない不動産または開発が完了した不動産
時価 = 販売見込額 - 販売経費等見込額
②開発後販売する不動産
時価 = 完成後販売見込額
-(造成・建築工事原価今後発生見込額 + 販売経費等見込額)
さらに②の不動産には開発の実現可能性が乏しくなっているものもあり、以下に例示されているケースについては「開発計画の実現可能性が認められない」と判断され、①として扱われます。
1.開発用の土地等の買収が完了しないため、開発工事着工予定時から概ね5年を経過
2.開発用の土地等は買収済みであるが、買収後概ね5年を経過しても開発工事に未着手
3.開発工事に着工したが、途中で工事を中断し、その後概ね2年を経過
工場財団とは、抵当権の目的とするために、工場に属する土地・建物、機械・工具、その他設備または権利の全部もしくは一部をもって組成した財団のことです。財産抵当という企業を担保する制度のひとつで、分散している不動産等を包括的に財団として組成することにより、ひとつの担保物件として管理できるメリットがあります。
工場財団に属した不動産にはその旨の登記がなされ、設定された抵当権は工場財団登記簿に登記されることになります。
鑑定評価においては、土地や建物のみならず、工作物や機械器具、その他の工具等を総合的に評価しなければならず、他の専門家との連携が必要となります。
また、工場財団全体としての収益力を適切に把握しなければならず、高度な専門知識が求められるケースといえましょう。
まずは現地調査を実施のうえ、現在の状況、地積、地目、構造、維持管理状況などの物理的状況、権利者の状況、占有者の有無やその状況などの権利の状況を確認します。そのうえで、市役所や法務局出張所などで行政的条件の調査を実施していくことになります。また、最新の不動産マーケットを把握しなければならないため、周辺の取引事例や賃貸借の事例、キャップレートの調査なども行います。
上記の現地調査、取引事例等調査、地元精通者のアドバイス、収集した資料等を踏まえて、最終的に回収見込額を見積・査定していくことになります。
借地権を買い取ったあとの土地の有効活用案として、時間貸駐車場による収入確保やアパート建築による家賃収入確保があります。
時間貸駐車場は、例えば近い将来、子供や孫の自宅などを建築するまでの短期の間、そのまま更地のまま放置しておくのは勿体ないケースで一時的・短期的に活用する場合などで、アパート建築と比較して初期投資のための資金の持出や建築費のための銀行借入をしなくてすみますので地主としてもリスクが少なく、短期間の安心できる土地活用法のひとつです。
一方アパート建築は、初期投資も大きく、将来にわたって家賃を確保できるか等の不動産マーケットの調査などが必要となりますが、大手ハウスメーカーによる家賃保証をつけるなどしてリスクを軽減することができます。
弊社では、大手時間貸駐車場運営会社やハウスメーカーとの人的ネットワークを活かして、借地権の買い取り後の土地活用を前提として、借地権買い取りのお手伝いを行っております。
出口シナリオの提案では、債権の裏づけとなる対象不動産をとりまく物理的、法的、経済的側面を調査し、最終的に少しでも多く回収することができるように、対象不動産ごとに売却出口のシナリオを策定していくことになります。
例えば、規模の大きな土地の場合、不動産マーケットに関する各種調査結果から、最も高く売却できる用途は戸建用地なのかマンション用地なのか、又は商業ビル用地なのか等を判断することになります。
さらに債務者に関する資料が提示されている場合は、債務者の人的な面から考慮を加え、債務者の承諾を得てその不動産を売却して回収できそうか(任意売却)、売却について承諾を得ること自体が困難となるような事情がある場合は、競売による売却を計るべきかの判断を行い、それぞれのケースごとに売却に要する費用を計算していくことになります。
会計上、固定資産には有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産が含まれます。
減損とは、事業に利用されている資産が収益性の低下によって回収が見込めなくなった状態をいい、減損会計とは、このような減損を財務諸表に反映させる会計処理をいいます。
減損処理の対象となった資産の帳簿価額は評価額へ減額され、減価分は「減損損失」として損益計算書の特別損失に計上されます。
減損会計が適用されるまでの流れは以下の通りです。
(1)資産のグルーピング
複数の固定資産を、キャッシュフローを生み出す最小単位にまとめます。事業用ビルなど単独でキャッシュフローを生み出しているものは個々に計上できますが、例えば工場のように、土地建物・機械装置・その他工具等が複合的に結びついてキャッシュフローを形成しているようなものについては包括的に適用する必要があります。
(2)減損の兆候
減損会計基準においては、減損の兆候として以下の項目が例示されています。
①営業活動から生ずる損益またはキャッシュフローが継続してマイナスとなっているか、またはマイナスとなる見込みである場合
②資産又は資産グループが使用されている範囲又は方法について、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたか、又は生じる見込みである場合
③資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化、又は、悪化する見込みである場合
④資産又は資産グループの市場価格が著しく下落した場合
(3)減損損失の認識
減損の兆候がある資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定は、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額と帳簿価額を比較することにより行い、割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合に減損損失を認識することとなります。
割引前将来キャッシュフローの総額は、主要な資産の経済的残存耐用年数により以下の計算式が示されています。
①主要な資産の経済的残存耐用年数が20年以内
耐用年数内に生じる割引前将来キャッシュフロー総額
+ 当該耐用年数満了時点における正味売却価額
②主要な資産の経済的残存耐用年数が20年超
20年間に生じる割引前将来キャッシュフロー総額
+ 20年経過時点における回収可能価額
正味売却価額とは、文字通り資産を売却することを想定とした場合の価額で、不動産鑑定評価においては「正常価格」となります。
回収可能価額とは、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方を採用した価額です。
使用価値とは、継続的使用に係る将来キャッシュフローと使用後の処分に係るキャッシュフローの現在価値を合計したもので、不動産鑑定評価においては「特定価格」として求めることとなり、原則としてDCF法による収益価格を主体として価格を決定します。
(4)減損損失の測定
減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループは、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減少額は減損損失として計上されます。
▼セミナー会場:東京・日本橋ベルサール八重洲 当日の様子▼
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| 日時 | 2010年1月28日(木) |
| 14:00~15:30(13:30 受付開始) | |
| 会場 | ベルサール 八重洲 RoomF |
| 東京都中央区八重洲1-3-7八重洲ファースト フィナンシャルビル3F (地下鉄東西線・銀座線・浅草線「日本橋駅」A7出口 直結) |
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| 参加費 | ¥5,000- |
ADR(Alternative Dispute Resolution)とは裁判外紛争解決手続きを意味し、事業再生ADRは破産法や会社更生法・民事再生法等による手続きである「法的整理」と、メインバンク等による事業再建である「私的整理」のメリットを取り入れた新しい手法で、2007年に施行されました。
経営危機に至った企業が、民事再生法や会社更生法の申し立てによる法的手続きによらず、中立な第三者機関であるADR事業者の手によって、債権者・債務者間の話し合いに基づき、自主的な整理手続きによって事業再建を目指します。
前項で説明しました会社更生法及び民事再生法に基づく手続きと同様に、対象企業の財務・資産状況を適確に把握するために、不動産鑑定が必要となります。
会社更生法及び民事再生法は、破産・清算を前提とした破産法と異なり、「再建型」に該当します。
概要のみを簡単に説明しますと、
・会社更生法は株式会社のみ適用され、手続きが厳格で再建計画が長期に渡るケースが多い
・民事再生法は個人・法人・規模に関わらず、破産原因がなくともその恐れがある場合に適用され、比較的短期間で手続きが完了する
といったところでしょうか。いささか省略に過ぎるかと思われますが、各法律の要件は非常に多岐に渡るため、とても全てを記載することはできません。
企業(或いは個人であっても)の活動と不動産は密接な関係にあるので、自ずと不動産鑑定が必要とされるケースが多くなります。
但し、会社更生法で求める価格の多く(例外もあります)が、現況を所与とした正常価格であるのに対し、民事再生法で求める価格は早期売却に基づく特定価格となります。
会社更生法に基づく鑑定評価には以下のようなケースがあります。
1.更生手続開始時における財産評定に係る評価
2.更生担保権に係る担保権の目的である財産の評価
3.担保権の目的である財産の担保権消滅請求制度に係る評価
4.更生計画案についての参考資料として提出すべき、更生計画案作成の基準時における財産評価
5.更生計画において財産の処分を行う場合等における評価
6.更生計画の内容が会社の事業の全部を廃止するものである場合の評価
7.更生会社の営業の全部又は重要な一部の譲渡に係る評価
また、民事再生法に基づく鑑定評価には以下のようなケースがあります。
1.再生手続開始時の財産目録、貸借対照表作成のための鑑定評価
2.財産上の担保権を消滅させることに関連する鑑定評価
3.営業譲渡を検討している場合の鑑定評価
4.役員に対する損害賠償請求を検討している場合の鑑定評価
再建計画の内容や期間によって、求められる評価業務は様々です。