1960年にアメリカで誕生した不動産投資信託(REIT)は、半世紀を迎えようとしています。一方、J-REITという言葉を発端に、日本でその認知度が上がったのはここ10年前後の事ですから、いかに日本では不動産投資市場が未開拓であったかが窺えます
ところで日本では、J-REITに海外不動産を組み入れる事を規制する法律はありませんでした。現在では東京証券取引所の上場規定において、海外不動産の適切な評価が確立していない等の理由から、投資家保護の観点からこれを禁止しているのみです。
しかし、平成20年1月8日、国土交通省及び金融庁の指針が発表され、早ければ本年4月にも解禁される見通しが示されました。
海外不動産への投資が可能となれば、投資家に対する多様性の確保によるリスク分散の反面、やはり問題となるのは、海外の不動産をいかに適正に鑑定評価できるかという事でしょう。当然、投資を募るには、その物件がどれだけの価値があるのかを示さなければならず、対象が海外の不動産であった場合、その難しさは容易に想像ができます。
そこで、国土交通省は、先月から海外投資不動産鑑定評価ガイドライン(案)を策定し、パブリックコメントにかけています。これによると、次の2つの方法が示されています。
①不動産鑑定士が現地に赴き鑑定評価を行う方法
②現地の鑑定人を補助員・共同作業員として鑑定評価を行う方法
もちろん、現地に精通した不動産鑑定士が自ら鑑定評価を行う事が望ましいですが、非常に稀であると言わざるを得ません。そこで、②が現実的であるとし、さらに2つの方法に細分しています。
a.現地鑑定補助方式・・・現地鑑定人から基礎資料・助言・便宜の供与等を受けながら、理解・分析を行って鑑定評価を行う方法
b.現地鑑定検証方式・・・現地鑑定人による報告書における判断の妥当性及び評価額の適正性を、不動産鑑定士が理解・分析を行い検証して鑑定評価を行う方法
aは現地鑑定人の補助を受けながら鑑定評価書を完成させるのに対して、bは現地鑑定人の作成した報告書を基に鑑定評価書を書き上げる、といったイメージでしょうか。
現段階では、何れの方法が主流になるかはわかりませんし、解禁までにさらに細分化されるのではないかと思います。ただ、不動産鑑定士がその国の不動産について一定以上の知識を身につける事が必要となり、また、相応のコミュニケーション能力も要求され、外国語を習得した国際的な鑑定士が一層活躍される事は間違いないでしょう。
日本橋鑑定総合事務所では、海外での不動産評価手法を学ぶため、三原が中国上海にて現地法人駐在の不動産鑑定士と共に視察を行うなど、あらゆるニーズにお応えできるよう一層の努力をしておりますので、今後もお引き立ての程、宜しくお願い致します。
塚田 有喜