財務諸表 支援(時価)
棚卸資産の評価
棚卸資産のうち不動産に該当するのは「販売用不動産」で、前項の固定資産と同様に時価会計が行われます。
(1)販売用不動産の時価会計が必要となった背景
通常、企業は仕入れた棚卸資産を販売して収益を上げるわけですから、収益獲得の過程をごく単純な式で表すと
収益 = 販売額 - 仕入原価
となり、本来であれば棚卸資産は仕入原価で計上されます。
しかし、不動産市況の低迷により、企業が抱える販売不動産は事業の目処が立たずに長期間滞留し、著しい地価の下落によって大幅な含み損を抱えることとなり、棚卸資産を仕入原価のまま計上していると、実際の資産処分の時まで損失が先送りにされてしまう事態が生じました。
また、住宅・建設・商社等の経営破綻が相次ぎ、破産・更生手続きが開始時に含み損がまとめて計上されてしまい、日本の会計監査に対する不信感が高まる結果となりました。そのため、不動産の簿価と時価の乖離を改善することが透明性の高い決算書を作成する上で急務となり、「強制評価減」という制度を経て、現在では時価会計が導入されています。
(2)販売用不動産等の時価
時価の捉え方には「正味実現可能価額」と「再調達原価」のふたつが考えられますが、ガイドライン等により、正味実現可能価額により計上されるのが一般的となっています。
正味実現可能価額とは、売却時価(販売見込額)から販売に要するコストを差し引いたものです。
(3)開発事業案件
販売用不動産の評価は以下の2つに分類されます。
①開発を行わない不動産または開発が完了した不動産
時価 = 販売見込額 - 販売経費等見込額
②開発後販売する不動産
時価 = 完成後販売見込額
-(造成・建築工事原価今後発生見込額 + 販売経費等見込額)
さらに②の不動産には開発の実現可能性が乏しくなっているものもあり、以下に例示されているケースについては「開発計画の実現可能性が認められない」と判断され、①として扱われます。
1.開発用の土地等の買収が完了しないため、開発工事着工予定時から概ね5年を経過
2.開発用の土地等は買収済みであるが、買収後概ね5年を経過しても開発工事に未着手
3.開発工事に着工したが、途中で工事を中断し、その後概ね2年を経過



