裁判資料 訴訟支援
財産分与、遺産分割
相続もまた、不動産と切っても切れない関係にあります。被相続人が現金のみを遺してくれれば良いのでしょうが、土地や建物は、ケーキのように等分すればおしまいというわけにはいきません。分割できるほど広い土地とは限りませんし、被相続人の誰かが住んでいる場合もあります。
当社でも数多くの相続案件を扱ってきましたが、印象に残っているエピソードをご紹介しようと思います。
◇整形と不整形、あなたならどちらを選ぶ?
とある路線商業地に、旗竿状の土地がありました。とはいえ、通常の旗竿地のように路地状部分を擁する使い勝手の悪い形状ではなく、間口も十分あり、旗竿部分は若干気になる程度。また、分割してもそれぞれが問題なく利用できる広さでした。しかし、この「若干」が曲者となります。いざ分割しようとすると、一方の土地がきれいな長方形地、もう一方が旗竿地(不整形地)になってしまうのです。
これでは明らかに不公平、ということで、単純に面積で等分するのではなく、旗竿地の面積を少し多めにしようという分割案が出されました。
さて、通常、更地の鑑定評価においては、取引事例比較法と収益還元法という二つの手法を用いて価格を決定します。各手法の説明はここでは省略しますが、取引事例比較法は土地の個別性が重視され、収益還元法は文字通り収益性が重視されるという特徴があります。
取引事例比較法では、旗竿地が不整形であるため単価が低く、長方形地の1.1倍程度の面積が妥当であると査定されました。分割案通りです。
ところが、分割案を基に収益還元法を適用すると、旗竿地の方が面積が大きいため、容積を消化することができ、旗竿地の方が高く査定されてしまうのです。
これが一般住宅地であれば、収益価格は参考程度にとどまるのですが、対象地は住宅地とも商業地ともいえない微妙な立地条件にあり・・・。
結局、面積比1.05倍程度という、ほぼ等分に近い数字で評価せざるを得ませんでした。その後、相続人同士でどちらを取るか喧々囂々・・・だったかは存じ上げません。



